1. 一往復で終わらせないために必要な視点
ファーストDMをクリアしたあなたは、いよいよ本格的なやり取りに突入する段階に来た。ここで目指すのは、単なる「挨拶のあと、すぐに話題が尽きて消滅」ではなく、3〜5往復以上のやり取りで心の距離をぐっと縮めることだ。
多くの男性が陥る失敗は、「DMが返ってくる=もう大丈夫」と油断するパターン。実は、ファーストDMを突破しただけでは、女性側の警戒心が完全に消えたわけではない。ここから本格的にお互いの内面を少しずつ解きほぐし、「この人と話していると楽しい」「もっと話したい」と感じてもらう必要がある。
“無害化”の本質は安心感
本書が定義するところの「無害」とは、ただ「優しそう」「ナンパっぽくない」という表面的な話だけではない。女性から見たときに、「この人とDMで話しても、嫌な思いをしなさそう」「不快な提案をされないだろう」という安心感があるかどうかだ。
その判断基準は意外にも単純で、以下の要素が主にチェックされる。
- 否定や批判がないか
- 下心が透けていないか
- 会話のキャッチボールが成立しているか
とりわけ、「相手の発言や価値観を否定せず、むしろ興味を示して理解しようとしている」という姿勢は、DMのやり取りで非常に大きな安心感を生む。人は、自分を認めてくれる相手には自然と心を開きやすいからだ。
2. “共感ラリー”とは何か?
本書で提唱する「共感ラリー」とは、DMのなかで3〜5往復(やり取りの回数)を使って相手との距離を一気に縮めるためのコミュニケーション戦略を指す。
- 1往復目:ファーストDMが返ってくる
- 2往復目:相手の話題を深堀りし、共感と質問をセットで返す
- 3往復目:さらに相手が話しやすい要素を広げ、同時にあなた自身の小さな自己開示を交える
- 4往復目以降:必要に応じて次の展開(DM外でのやり取り・オフラインの誘い)をちら見せ
なぜ“ラリー”が効果的なのか
人は、やり取りが1〜2回で終わる相手には「縁が薄い」と感じやすい。逆に言えば、短期間でも連続的にやり取りが続く相手には「縁が深いかも」「相性がいいのかも」と勝手に脳が錯覚しやすいのだ。
コメントやいいねを経由してファーストDMにこぎつけた段階で、すでにゼロからのスタートではない。ただし、そこからさらに3〜5往復がスムーズに転がるかどうかが大きな分かれ道になる。ここをうまく転がせば、一気に相手の中で「気になる人」ポジションを獲得できる。
3. まずは相手に話させる — 2往復目で自己開示しすぎない
ファーストDM後、相手から「ありがとうございます! 私も実は…」と返ってきたら、喜び勇んで自分のアピールに走る人がいる。これは要注意。
たとえば、
相手:「あの場所、私も前から気になっていたんですよね。最近、〇〇っていう新しいお店ができたみたいで…」
あなた:「実は俺も先週行ってきまして、〇〇がめちゃくちゃ美味しくて…いや〜俺が思うには〜…」
こうなると失敗だ。下手すると既読無視され、二度と返信が来ないかもしれない。
ここであなたがすべきなのは、アピールしたい気持ちを抑え、「相手の話題の続きをもっと聞きたい」という姿勢を見せることだ。2往復目が自己アピールの場になると、相手は「なんだ、この人もただ語りたいだけか…」と感じやすい。
「もう少し教えてほしい」と提案する
- 例)「へぇ、〇〇ってお店があるんですね。やっぱり女性目線だと、どういうポイントが気になりますか? 内装とか、あとメニューとか…」
- 「実際行ってみたんですか? もしおすすめメニューとか知ってたら、ぜひ教えてください!」
このように、相手の情報・相手の感想をさらに深堀りする流れを作ろう。人は、自分の知っていることを話すとき、心地よさを感じるものだ。
4. “共感と質問”の黄金ペア
2往復目、3往復目のやり取りをうまく回す鍵は、「共感」と「質問」のセットで返すこと。自分の感想だけで終わらせず、必ず相手が答えやすい問いを含めるのだ。
あなた:「僕も〇〇の写真を見て、あの雰囲気が好きになりました。本当にレトロで落ち着きますよね。〇〇さんは、どんなときにああいう場所に行きたくなるんですか?」
ここで重要なのは、あなたの感情・意見を少しだけ挟んでから質問する、という順番。これは自己アピールとは異なり、誘い水のようなものだ。相手に共感(あるいは興味)を伝えてから問いかけると、女性は自然に「話してみたい」という気持ちになる。
質問のコツ:答えやすい+広げやすい
- 避けたい質問:「過去にどんな恋愛をしました?」「親はどんなお仕事?」のようなプライベート突っ込みすぎ質問はNGだ。
- 歓迎されやすい質問:「いつごろからハマってるんですか?」「その趣味の一番の魅力って何だと思います?」など、回答に負担が少なく、趣味トークを続けられるものが理想的。
5. 三往復目あたりで“自分も少しだけ晒す”
相手の話を引き出すことばかりに注力すると、逆にあなたが何を考えているのか見えなさすぎて不安にさせるケースもある。とくに女性は「この人ばかりが私から情報を引き出そうとしている…」と思うと、身構えてしまうことがあるのだ。
そこで、2〜3往復目のどこかで、少しだけ自分のエピソードを語るのが有効。ポイントは「少しだけ」ということ。長文で自分の人生を語りすぎると、返事をする気が削がれてしまう。
あなた:「実は、僕も前に〇〇(店名)に行ったことがあって、入り口の雰囲気に感動したんですよね。だけど〇〇っていうメニューには手が出せなくて(笑)。〇〇さんは挑戦されたことあります?」
ここで笑いどころや軽い失敗談を盛り込むと、相手は「この人面白いし、ちょっと親近感湧くかも」と感じやすい。自分が完璧な存在であるかのように振る舞うより、少し抜け感を見せたほうが「無害」で親しみやすい印象になるのだ。
6. 既読スルー、短文返信を招かないための気づかい
ここまで慎重に進めてきても、既読スルーや「はい」「そうなんですね」といった短文返信で止まってしまうことはある。相手があなたにそこまで興味を持っていないのか、ただ単に忙しいのか、あるいは疲れているのか……。
いずれにしても、まずは焦らず、急かさないことが最重要だ。
- 「どうしました?」
- 「返事まだですか?」
などと追いDMをするのは最悪の一手。相手は「わ、面倒くさい」「余裕がない人かも」と感じ、ブロック一直線になる危険が高い。
タイミングを見る
相手がSNSに浮上していない時間帯や忙しそうな時期(例えば平日昼間に毎回DMを連投するなど)も考慮したい。また、深夜帯や朝出勤前のバタバタした時間も返信率が低くなりがちなので慎重になろう。
SNSの投稿で存在感を示す
相手にメッセージを伝える方法はDM以外にもある。相手の返信が途切れてしまった場合でも、相手のタイムラインや新規投稿にいいねをするなど、軽い関心のサインを送り続けよう。すると「この人はまだ私に興味を持ってくれているんだな」と伝わりやすい。そこで相手が再びDMを思い出してくれることもある。
7. コールドリプライの具体的なリカバリープロセス
コールドリプライ(冷たい返事)や返信ストップは、決して珍しいことではない。重要なのは一度の冷たい反応で諦めないこと、そして、「しつこい」と思われないための距離感を守ることだ。
1. まずは数日置き、相手の投稿に軽くいいねや短いコメント
一方的に長文DMを再送すると負担になる
2. 相手がリプやいいねを返してきたら、再DMのチャンス
「そういえば先日の話、もう少し教えていただきたいと思ってたんですよね」と、過去の話題に立ち返る
3. こんな追撃DMは送るな
- 「何でDM返してくれないんですか?」→ 相手の罪悪感を刺激しても良いことはない。
- 「もしかして嫌われました?」→ 自信のない男は嫌われる。相手の気持ちを決めつけるような文言も避けるべきだ。
好きな女性から距離を置かれるのはつらいが、焦らず余裕を持った対応を心がけていれば、必ずまた希望が見えてくる。
8. “共感ラリー”成功例:52歳Mさんの場合
ここで、実際に「共感ラリー」で成功したMさん(52歳・会社員)の体験を紹介する。彼はSNSで「昭和の銭湯」や「路地裏写真」をテーマに発信し、20代後半の女性(Yさん)とコメント欄で軽く交流していた。
ファーストDMから2往復目で苦戦
最初にDMを送ったときは「コメント欄だと書ききれなくて…もし良かったら詳しく教えてください」と丁寧にアプローチ。Yさんから1往復目の返信はあったものの、2往復目が「そうなんですね」「私もそう思います〜」と短文で終わった。
Mさんは「やっぱり興味ないのかな」と落胆しかけたが、焦りを押さえて次のような対応をした。
- 一旦、数時間〜半日あける
- 相手のプロフィールや投稿を改めて熟読し、「あ、Yさんは銭湯だけじゃなくて昭和の自販機コーナーにも興味あるんだ」と再発見。
- 「そういえばYさん、前に昭和の自販機って面白いって言ってましたよね。実は僕、先週たまたま見つけた場所があって…」と、新しい情報をちら見せして再DM。
するとYさんは「それ、私も気になってました! どこにあるんですか?」と興味を示し、以後スムーズにラリーが続き始めた。
なぜこれが成功したのか
- 一度の短文で諦めなかった
- 相手が喜びそうな情報を後出しすることで、相手の好奇心を再点火した
- 追撃感を薄めるため、投稿にいいねをしながら自然なタイミングを待った
結局、MさんとYさんは5往復ほどのDMの中で熱心に会話を交わし、最終的にYさんの方から「私も昭和の雰囲気が味わえる場所に行ってみたいです」と自発的な誘い文句が飛び出巣までに至った。
2往復目が素っ気ないからといって終わりではない、“共感ラリー”で粘り強く距離を縮めた好例と言える。
9. まとめ:無害化戦略の真髄
- ファーストDM後も、警戒心はまだ残っている
- 3〜5往復の“共感ラリー”を軸に、相手が話しやすい環境を整える
- 相手の投稿・プロフィールを活用し、“相手本位”のトピックを出す
- 自己語りは少しだけ、タイミングを見て“抜け感”を演出
- 冷たい返信が来ても、焦らず距離感を取りながら再アプローチ
このステップを踏めば、あなたは単なる“DMを送る人”ではなく、「一緒に話していると居心地がいい人」として相手の記憶に深く刻まれる。ここでの積み重ねが、次章の「オフラインへの誘導」を成功させる最大のカギだ。